SMS送信後は約4割の寄附者と接触することができた
SMSを送信することで21%からは返電があり、寄附者とコールセンター双方の負担を軽減
SMSの文面は自治体の信頼性・安心感を意識し、「寄附者ファースト」の対応を実現
従業員数 | 69名 |
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事業内容 | システム開発・システム保守、ネットワーク構築、Webページ・サイト構築、データベース処理 保健・福祉・医療関係情報ネットワーク構築、インターネットはがき作成・投函サービス「ポスコミ」運営 |
HP | https://egg.co.jp/ |
エッグのふるさと納税システムは全国に先駆けて開発され、北海道から沖縄まで680以上の自治体に導入されている(OEM提供含む)。また、一部の自治体に対しては、ふるさと納税システムの導入だけでなく、寄附金受領証明書発行やワンストップ特例申請受付業務の他、寄附者からの問合せに対応するコールセンター業務も請け負っている。
しかし、コールセンター業務の中には、「寄附者への電話がつながらずに、どんどん架電リストが溜まっていく」という課題があった。複数回コールしても、なかなか電話に出てもらえないのだ。「ようやく電話がつながったとしても、コールした理由を最初から説明しようとすると、どうしても時間がかかってしまいます。コールセンターのタスクが増えるだけでなく、寄附者の方の貴重な時間を奪っていることにも課題を感じていました」と株式会社エッグ 営業部 営業一課 課長 大野貴博 氏は語る。
もともと同社では、過去に行ったワンストップ特例申請処理の経験を通じて、SMSの価値を見出していた。電話という手段は、相手の時間が空いていなかったり、不審に思われたりしてなかなか出てもらえなくなっている。メールだと埋もれてしまったり迷惑メールフォルダに入ってしまったりして気づいてもらえない可能性がある。SMSであれば、携帯電話の画面にポップアップが表示されるため、すぐに気づいてもらえるし、用件を伝えてから電話すれば安心感が違うとひらめいた。
「3回コールしても電話に出てもらえなかった方に、SMSで用件を伝えた上でコールをしたところ、そのうち約4割の方と会話をすることができました。【電話のみ】でのコールと、【事前SMS+電話】でのコールでここまで差が出るとは、正直驚いています。
また、SMSで用件をご理解いただいているケースが多く、コールした時には『メッセージ見て対応しておきました』と、1から説明しなくても内容が伝わっていて、すぐに本題に入ることができるようになりました」。 さらに、SMSを読んでもらうために、SMSの送信からコールまで2日開けたところ、副次的な効果として、21%の方からは折り返しの電話が届くようになった。折り返しを狙ったわけではないが、寄附者の都合の良い時間に説明させていただくことができたとも言えるだろう。
「SMSを事前に送ることで、①電話に出ていただきやすくなり、②前もって用件を理解いただけていて、③先方から折り返しのお電話もいただけるようになりました。それらの結果、以前の半分程度まで対応時間を削減できていると感じています」。
コールの前に送信するSMSの文章は、できるだけ伝わりやすく、かつ「自治体の信頼性」を意識して作成したと言う。自治体名を入れた上で、業者名と担当課名、コールセンターの電話番号、受付可能時間を入れ、用件を説明するようにしている。メッセージを見れば、「誰」が「何を伝えたいか」が一目瞭然だ。さらに、スパムだと思われないように、「あえてリンクを入れない」というひと工夫も。また、自治体のHPにコールセンターの電話番号や、SMSも送信する旨を記載しておくなど、寄附者に不安を与えない運用を整えたそう。
今回、私が提出したワンストップ特例の必要書類に不備があり、市役所から携帯宛にお電話いただきました。ただ、知らない番号から電話いただいてもやはり不安を感じます。着信があった際は、その電話番号をインターネットで検索しますね。検索しても身に覚えがなければ折り返しはしませんが、今回はSMSで連絡を貰っていて内容も理解したため、安心して折り返しの電話をしました。
ふるさと納税の担当の方からメールも送っていただいていたようでしたが、メールのチェックはそれほど頻繁にはしないので気付きませんでした。また、メールは1日に何十通と届くのでタイトルを見て開封するかどうかは判断しますが、ほとんどメルマガだと思っており、今回のように見逃すことも多いです。
ふるさと納税に限っても、寄附御礼メールや発送のお知らせ、到着予定時期など、たくさんのメールが届くので、なかなかきちんと全てのメールを読むことはできません。SMSはあまり受け取らないので、届いたら開封して内容を確認しています。私が対応しなければならない連絡などは、SMSで用件を送信してからお電話いただく方がありがたいです。
ふるさと納税以外にも、自治体でのSMSの活用には大きな可能性があると大野氏は語る。
「海に面したある自治体では、高波が発生するとSMSで住民にアナウンスを行っています。ヨットハーバーがあるのですが、波が高くなると事故防止のために入り口のドアがロックされます。その際に、SMSで高波の発生とヨットハーバーに入れないことを伝えるわけです。この例のように、自治体には災害や税務など、住民に対して周知を徹底したいケースは多いものです。これまでは電話や郵便、無線などの手段を使っていましたが、1件1件電話するのは非効率だし、郵便は時間もコストもかかります。緊急性が高く、周知を徹底したい情報はSMSがマッチするでしょう」。
エッグは現在、自治体のバックオフィス業務のDXを支援する「AIコール」にSMSLINKの仕組みを導入することを検討中だ。例えば「返礼品はまだですか?」という問い合わせを受けたら、AIコールが返礼品の配送状況を確認してSMSで送信する。瞬時に回答を提示できる上に、口頭のように相手の時間を割かなくて済むという利点がある。「携帯電話番号はMNPがあるので、住所やメールアドレスよりも変わりにくい。SMSは、これからますます活用の機会が広がっていくのではないでしょうか」
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