感染者へのファーストタッチにSMSの一斉送信を活用し、感染者急増時にも迅速かつ確実に対応できる体制を整備。
多いときには1日1万人を超える感染者にファーストタッチ。
電子申請の仕組みとSMSを組み合わせ、医療機関で陽性検査を受けられない県民が即日医師の確定診断を受けられる「検査確定診断登録窓口」も開始。
人口 | 7,339,830人( 推計、2022年7月1日現在) |
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職員数 | 61,450名( 2021年4月1日現在) |
HP | https://www.pref.saitama.lg.jp/ |
新型コロナウイルス感染症流行の影響がいまだ深刻な中、感染者をはじめとする住民への連絡にSMSを活用する自治体も珍しくなくなっている。埼玉県では2022年の第6波のタイミングでネクスウェイの『SMSLINK』を本格的に導入し、運用体制を改めて整備している。迅速かつ確実な県民対応を可能にした『SMSLINK』の活用方法や、具体的な導入成果について伺った。
SMSサービス導入のきっかけとなった課題は、コロナ陽性が発覚した県民に対する行政からの「ファーストタッチ」だ。2021年夏の第5波までは県内の保健所の職員がすべて電話で対象者に連絡しており、1件につき10分以上かかっていたという。「療養案内だけでなく、感染者の行動歴や濃厚接触者をヒアリングする積極的疫学調査も兼ねていたため、一件一件時間をかけて行っていました。感染者の方の不安を少しでも軽減できるよう入念に対応してきましたが、どうしても時間がかかってしまう点には、正直、課題感も抱いていました。実際に、2021年の第5波ではこうした従来の運用が限界を迎えてしまったんです」と、同県感染症対策課の利根川氏は振り返る。
そこで、他の自治体でもすでに活用されていたSMS配信サービスの利用を検討。複数のサービスを比較した中で『SMSLINK』を選んだ決め手は「料金体系、そしてネクスウェイの対応の早さ」だと利根川氏はいう。「切迫した状況の中、契約周りやシステムの初期設定も含めてスピーディに対応してくれました。またコンプライアンス部分も入念にチェックいただき、真摯な姿勢に安心感がありましたね」(利根川氏)
『SMSLINK』導入の最大の成果は、多数の感染者へ迅速かつ確実にファーストタッチを行える運用体制を整備できたことだ。
SMSを活用したファーストタッチの流れとしては、まず、県内の保健所が医療機関から受け取った発生届を仕分けしたのち、重症化リスクの高い感染者は保健所が電話またはSMSで対応、それ以外は本庁からSMSを一斉送信する。本庁からのSMSでは、健康観察システム『HER-SYS』の個人IDをはじめとする療養情報を案内する形だ。
第6波においては、本庁では県内17の保健所から毎日数回に分けてリストを受け取っており、1日に何度もSMSを一斉送信。1回の送信件数はだいたい70~80件、多いときには1回300件に一斉連絡していたというから、1日1万件を超えるファーストタッチが可能になった計算になる。「電話に比べて対応可能件数が増えたのは明らかですが、何より一律にご案内できるため、感染者がどれだけ増えてもキャパオーバーにならない運用体制を構築できたのは大きいですね。患者様の健康を守るためにも、またさらなる感染拡大を防止するためにも、速やかなファーストタッチが重要だと考えます」と同じく感染症対策課の前原氏は強調する。加えて、保健所の保健師は重症化リスクの高い感染者への対応に集中するなど、県内の専門リソースを有効活用できるようにもなった。「2022年7月からの第7波以降は、ファーストタッチからその後の健康観察までを一括して民間の自宅療養者支援センターに委託することになり、運用も若干変わってしまったのですが、SMS自体は現在も使い続けています」(前原氏)
さらに新たな取り組みとして、第7波ではSMSを活用した検査確定診断登録窓口もスタートさせた。同サービスは、発熱などの症状がある県民が自身で用意したキットで抗原定性検査を行い、陽性の結果が出た場合、専用の電子申請フォームから検査結果の写真と症状、個人情報などを提出すると、それらを医師が確認して当日中に確定診断を行うというものだ。本庁側では診断結果ごとに一覧を作り(陽性確定リスト、理由ごとの確定診断不可リスト)、SMSで結果を送信する。「医療がひっ迫し、症状があっても医療機関で診察や検査が受けられない県民が増えている状況で、適切な療養と感染拡大防止に向けた対処を行えるようにするためのサービスです。県職員や医師のリソースが限られる中、本人へ即日診断結果まで送れるのは、SMSを活用した仕組みならではだといえるでしょう」(利根川氏)
SMS活用のメリットについて、利根川氏は「効率性」「到達率」「正確性」を挙げる。「効率性の面では、工数を把握しやすく、行政から多数の県民への連絡をより体系的に行える点に活用メリットを感じます。到達率については、スマートフォンに慣れ親しむ若い方々とSMSの相性がよいのはもちろん、年配の方でもシンプルなSMSなら目を通していただけるように思いますね。さらに、テキストベースのコミュニケーションであるため、口頭よりも正確に情報を伝えられます。当県の活用方法では特に『HER-SYS』の個人IDを非常に伝えやすくなりました」(利根川氏
中でも『SMSLINK』について、前原氏は「機能が充実しているため、かゆいところに手が届き、使い勝手が良い」と話す。「まずWebブラウザ上で操作でき、アカウントをお金をかけず簡単に増やせるのが便利です。当県では本庁勤務者だけでなく、各保健所の職員もSMSを活用しているので、こうした仕様がマッチしていると思います。また操作が視覚的にわかりやすいのもよいですね。保健所の職員にとっても使いやすいようです」(前原氏)
機能面では、宛先ごとに異なる情報をメッセージ本文に差し込みできる「差し込み機能」がお気に入りだと前原氏。「第6波のファーストタッチでは『HER-SYS』のログインIDのみ差し込みして一斉送信できたため、個別にIDを手入力する手間を省けたのが助かりました」(前原氏)
さらに利根川氏は、ネクスウェイのサービス面にも言及する。「導入時には、送達率向上や読まれるための文面の工夫をしていただいたり、配信番号をすぐに指定番号にしていただいたりと、丁寧に対応していただきました。最初にシステム部分をしっかりと整えていただいたおかげで、現在も行政サービスとして安定的にSMSを運用し続けられているのだと思います」(利根川氏)
同県では引き続き、県民への行政サービス向上に向けたSMS活用の可能性を模索していきたいという。「セキュリティ面の課題をクリアできれば、県民からの療養証明書の提出など、さまざまな電子申請をSMSにできるとよいなと思っています。申請を行う方の大半が携帯電話を持っていますし、医療機関からは電話番号を連携されることも多いため、迅速に連絡でき簡便なSMSの利用は県民の皆さまの利便性も高まり、職員側の業務効率化も図れるのではないかと考えます」(前原氏)
そうしたSMSや『SMSLINK』の活用可能性について「今後もネクスウェイに積極的に提案してほしい」と利根川氏はいう。「私たちユーザーの困りごとに耳を傾け、ユーザーが気づいていない活用のアイデアを提案し続けてほしいなと思います。私たちからも、自治体ならではの課題や要望をどんどん出していきたいと思っていますので、期待に応えていただけるとうれしいですね。今後もユーザーの声を取り入れながら、進化し続けるサービスであってほしいと願います」(利根川氏)
顧客とのコミュニケーションに
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